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ソフトカプセルに関する特許の出願動向
1. ソフトカプセル技術の初期展開(2012-2015年)
2012年から2015年にかけて、ソフトカプセル技術の特許出願には、基本的な製造方法や皮膜組成に関する技術が多く見られます。特に、ゼラチンを使用しない皮膜や腸溶性皮膜の開発が注目され、食品や医薬品のカプセル化における柔軟性と耐久性の向上が求められています。例えば、ポリビニルピロリドンやイオタカラギーナンを含む非ゼラチン皮膜の技術や、低メトキシルペクチンを使用した腸溶性カプセルが開発されています。また、特定の機能成分を高濃度で安定的に内包する技術も探求されています。
2. 機能性と安定性の追求(2016-2018年)
2016年から2018年にかけては、ソフトカプセルの機能性と安定性を向上させる技術が特許出願の中心となっています。例えば、カプセル内の成分の安定性を高めるために、抗酸化成分や乳化剤の組み合わせが工夫されています。また、カプセルの崩壊性を制御する技術や、特定の健康成分を効率よく摂取するためのカプセル製剤も多く見られます。これらの技術は、消費者の健康志向に応じた製品開発の一環と考えられます。
3. 消費者ニーズへの対応と多機能化(2019-2021年)
2019年から2021年にかけては、消費者ニーズに応じた多機能なソフトカプセル技術が増加しています。例えば、機能性食品としての利用が進み、カロテノイドやオメガ脂肪酸を含むカプセル製剤が開発されています。また、体内吸収性を高めるための技術や、複数の成分を効率的に内包する技術も進展しています。さらに、製品の保存安定性を向上させるための工夫も多く見られます。
4. 持続可能性と特殊用途への展開(2022-2024年)
2022年以降は、持続可能性や特殊用途への展開が特徴的です。例えば、動物性原料を含まないカプセル皮膜の技術や、特定のビタミンやミネラルを安定的に含むマルチビタミンカプセルが注目されています。また、ソフトカプセルの製造工程の効率化や、特定の機能を持つカプセルの開発も進んでいます。これらの技術は、環境への配慮や特殊な医療用途への対応を重視していることが伺えます。
5.結論
全体として、ソフトカプセル技術の特許出願は、基本的な製造技術の確立から始まり、機能性と安定性の向上、消費者ニーズへの対応、そして持続可能性と特殊用途への展開へと進化しています。初期の基礎的な技術開発から、消費者の健康志向や環境意識の高まりに応じた多機能で持続可能な製品開発へとシフトしており、今後もこれらの分野での技術革新が期待されます。
6.今後の特許戦略
ソフトカプセル技術の特許戦略としては、まず、ゼラチンを含まない皮膜技術のさらなる改良が重要です。特に、植物由来の材料や環境に優しい成分を使用した皮膜の開発は、持続可能性を求める市場のニーズに応えるものとなります。次に、機能性成分の安定性向上に焦点を当てた特許出願が求められます。抗酸化剤や乳化剤の組み合わせにより、内容物の酸化を防ぎ、長期保存が可能な技術を確立することが重要です。また、カプセルの崩壊性を制御する技術も引き続き注力すべき分野です。特定の消化器官でのターゲット放出を可能にする腸溶性カプセルや、体内吸収性を高める技術は、機能性食品や医薬品分野での競争力を高めるでしょう。さらに、複数の機能成分を効率的に内包する技術の特許化も進めるべきです。特に、健康志向の高まりに応じて、ビタミン、ミネラル、オメガ脂肪酸などの多機能カプセル製剤の開発は有望です。最後に、製造工程の効率化に関する特許出願も重要です。自動化技術や製造プロセスの最適化により、生産コストの削減と品質向上を図ることで、競争優位性を確保することができます。これらの戦略を実行することで、ソフトカプセル市場における地位を強化し、持続可能かつ革新的な製品を提供することが可能となります。
ソフトカプセル 特許事例 10選
ソフトカプセルに関連する代表的な特許を10件選定しましたので、開発や知的財産活動の参考にしてください。これらの特許は、ソフトカプセルの製造方法、成分の改良、カプセルの耐久性や溶解性の向上、成分の安定性保持、特定成分の封入技術、放出制御、製造コストの削減技術、環境負荷の低減を目的とした素材の使用、機能性食品や医薬品における応用、カプセル表面の特殊加工技術など、多岐にわたる技術を網羅しています。これにより、製品開発の際に重要な技術的視点を得られ、競争力のある製品を市場に投入するためのヒントが得られるでしょう。
特許事例①(ソフトカプセル皮膜及びソフトカプセル/中日本カプセル 株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2022164819A(2022-10-13)
・公開番号/公開日:JP2024057860(2024-04-25)
・登録番号/登録日:
・名称:ソフトカプセル皮膜及びソフトカプセル
・出願人:中日本カプセル 株式会社
〇要点
・ゼラチンを含有せず、動物性原料を使用しないソフトカプセル皮膜を提供する。
・皮膜の組成はイオタカラギーナンとポリリジンを含有し、特定の重量比率で配合されている。
・この皮膜を用いたソフトカプセルには内容物が充填されている。
〇概要
本発明は、ゼラチンを含まず、動物性原料も使用しないソフトカプセル皮膜およびそれを用いたソフトカプセルを提供することを目的としています。具体的には、イオタカラギーナンとポリリジンを含有し、ゼラチンを含有しないソフトカプセル皮膜が提案されています。この皮膜の組成においては、イオタカラギーナン100重量部に対するポリリジンの割合を62.5重量部以上110重量部以下とすることができます。また、このソフトカプセル皮膜を用いて内容物を充填したソフトカプセルが提供されます。これにより、動物性原料を避けたい需要に応え、安全性が高く、広範な用途に対応できるソフトカプセルの提供が可能となります。特に医薬品やサプリメントなどの分野において、動物由来の成分を避けることでアレルギーや倫理的問題を回避しつつ、従来のゼラチンベースのカプセルと同等の性能を持つ製品を実現できます。
〇考察
本発明は、動物性原料を使用しないソフトカプセル皮膜の提供により、従来のゼラチンベースのカプセルに対する代替品としての新たな可能性を開拓しています。イオタカラギーナンとポリリジンの特定比率の組み合わせにより、ゼラチンを使用しなくても優れた物性と機能を持つカプセルを実現している点が革新的です。これにより、アレルギーリスクを低減し、動物由来成分を避けることで、ビーガンやベジタリアンを含む消費者層にも対応可能です。また、医薬品やサプリメントにおいて、安全性と倫理的配慮を両立しながら高性能な製品を提供できるため、市場のニーズに合致し高い競争力を持つと考えられます。この発明は、持続可能な材料選定と製造プロセスの効率化にも貢献し、環境負荷の低減にも寄与する可能性があります。従って、今後の市場において、このような動物性原料を排除したソフトカプセルの需要が増加すると予想され、その実用化と普及が期待されます。
特許事例②(ソフトカプセル皮膜及びソフトカプセル/中日本カプセル 株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2021098521A(2021-06-14)
・公開番号/公開日:JP2022190271(2022-12-26)
・登録番号/登録日:登録番号は記載されていません。
・名称:ソフトカプセル皮膜及びソフトカプセル
・出願人:中日本カプセル 株式会社
〇要点
・ゼラチン製のソフトカプセル皮膜であり、グリセリンを含まず柔軟性・弾力性を有する。
・乳酸ナトリウムとエリスリトールまたはキシリトールを含有。
・特定の重量比条件を満たすことで、優れた物性を実現。
〇概要
本発明は、ゼラチン製のソフトカプセル皮膜に関するものであり、従来のグリセリンを可塑剤として使用する方法に代わり、乳酸ナトリウムと糖アルコールであるエリスリトールまたはキシリトールを含有することで、柔軟性と弾力性を有するソフトカプセル皮膜を提供することを目的としています。このソフトカプセル皮膜は、ゼラチン100重量部に対して乳酸ナトリウムを固形分で27重量部以上40重量部以下、エリスリトールを6重量部以上11重量部以下またはキシリトールを6重量部以上11重量部以下含有することで、優れた物理的特性を実現します。さらに、乳酸ナトリウムと糖アルコールの重量比が特定の範囲内に収まることが重要であり、これによりソフトカプセルの性能が最適化されます。この技術により、医薬品や食品の分野で使用されるソフトカプセルの品質と安全性が向上することが期待されます。
〇考察
本発明は、従来のグリセリンを含むゼラチン製ソフトカプセル皮膜に代わる新しい組成を提供する点で画期的です。乳酸ナトリウムとエリスリトールまたはキシリトールを含有することで、柔軟性や弾力性を維持しつつ、グリセリンの使用を排除することに成功しています。これは、グリセリンに対するアレルギーや健康リスクを軽減するだけでなく、製造過程においても安定した品質を保証するための大きな進歩です。特定の重量比条件を満たすことで、最適な物性を達成できるため、製品の一貫性と信頼性が高まります。また、このソフトカプセル皮膜は医薬品やサプリメント、食品業界での幅広い応用が可能であり、特に健康志向の消費者に向けた製品開発において強みを発揮するでしょう。総じて、この発明はソフトカプセル市場において革新をもたらし、高い競争力を持つことが予想されます。
特許事例③(ソフトカプセルの製造方法及びソフトカプセル/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2021139138A(2021-08-27)
・公開番号/公開日:JP2023032818(2023-03-09)
・登録番号/登録日:未登録
・名称:ソフトカプセルの製造方法及びソフトカプセル
・出願人:中日本カプセル株式会社
〇要点
・ゼラチン、グリセリン、エリスリトール、水を含有する皮膜原液を調製し、ロータリーダイ式成形装置でソフトカプセルを成形。
・成形後にソフトカプセルを乾燥させ、皮膜の水分含有率を低下させることでエリスリトールを結晶化。
・エリスリトールの結晶化により遮光性が向上。
〇概要
本発明は安全性の高い成分を用いて遮光性を発揮するソフトカプセルの製造方法に関するものであり、ゼラチン、グリセリン、エリスリトールおよび水を含有する皮膜原液を調製し、ロータリーダイ式成形装置を用いて前記皮膜原液から成形されたソフトカプセル皮膜に内容物を充填したソフトカプセルを製造する方法を提供する。この方法では、成形後のソフトカプセルを乾燥させることにより、皮膜の水分含有率を低下させてエリスリトールを結晶化させることで、優れた遮光性を有するソフトカプセルを得ることができる。請求項1にはこの製造方法が記載され、請求項2にはロータリーダイ式成形装置によって形成された継ぎ目を有するソフトカプセルが記載されており、請求項3および4ではゼラチン、グリセリンおよびエリスリトールの含有割合について具体的な条件が示されている。本発明はエリスリトールの結晶化を利用して遮光性を向上させる点で革新的であり、製造工程における安全性と機能性の両立を実現している。
〇考察
この発明は、従来のソフトカプセル製造において課題となっていた遮光性と安全性を高い水準で両立させるための新しいアプローチを提供しています。ゼラチン、グリセリン、エリスリトール、水を組み合わせた皮膜原液を用いることで、成形後の乾燥プロセスを通じてエリスリトールを結晶化させる技術が革新的です。この結晶化により、ソフトカプセルの遮光性が向上し、内容物の品質保持が期待できるだけでなく、エリスリトールなどの安全性の高い成分を使用することで消費者の健康リスクを低減することができます。また、ロータリーダイ式成形装置を用いることで生産効率が高まり、コスト削減にも寄与します。さらに、具体的な成分比率を定めることで製品の一貫性と品質管理が容易になる点も重要です。医薬品やサプリメントの分野で広く応用可能であり、今後の市場において競争力の高い製品を提供する基盤となるでしょう。この技術は、ソフトカプセルの製造に新たな標準をもたらす可能性があり、持続可能な製造方法としても評価されるでしょう。
特許事例④(ソフトカプセルの製造方法及びソフトカプセル/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2021163682A(2021-10-04)
・公開番号/公開日:JP2023033048(2023-03-09)
・名称:ソフトカプセルの製造方法及びソフトカプセル
・出願人:中日本カプセル株式会社
〇要点
・安全性の高い成分を用いて遮光性を発揮するソフトカプセルの製造方法。
・ゼラチンと水を含有する皮膜原液に炭酸カルシウムを添加し、光透過率を低下させる。
・炭酸カルシウムの含有率は75質量%以上。
〇概要
本発明は、安全性の高い成分を使用して遮光性を高めたソフトカプセルの製造方法に関するものである。この方法では、ゼラチン及び水を含む皮膜原液に炭酸カルシウムまたは炭酸カルシウム含有原料を添加することによって、光透過率を低下させる。特に炭酸カルシウムの含有率が75質量%以上であることが特徴であり、これにより従来の製造方法で製造されたソフトカプセルと比較して、皮膜の光透過率を著しく低下させることができる。この技術は、ゼラチン100重量部に対して10重量部から40重量部の炭酸カルシウムを含有することが理想的であり、特に12重量部から30重量部の範囲が望ましい。ロータリーダイ式成形装置を使用することで、効率的な製造が可能であり、医薬品やサプリメントなど、光による劣化を防ぎたい製品に対して高い適用性が期待できる。
〇考察
本発明は、光透過率を低下させることで遮光性を向上させたソフトカプセルの製造方法において、炭酸カルシウムの添加が重要な役割を果たしている。これにより、安全性が高く、光による劣化を防ぐことができるため、医薬品やサプリメントなど、品質保持が求められる分野での応用が期待される。また、炭酸カルシウムを含有しない従来のソフトカプセルと比較して、製品の光透過率を効果的に低下させることができる点は大きな技術的進歩である。製造プロセスにおいても、ロータリーダイ式成形装置の使用により効率的かつ一貫した品質の製品を生産できることから、商業的にも高い競争力を持つ。この技術は、今後、医薬品や食品分野だけでなく、他の産業分野にも広がりを見せる可能性があり、市場の多様なニーズに対応するための基盤となり得る。総じて、本発明はソフトカプセルの遮光性向上と製造効率の面で優れた成果をもたらし、今後の展開が期待される。
特許事例⑤(ソフトカプセル用収容容器/株式会社細川洋行)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2020183120A(2020-10-30)
・公開番号/公開日:JP2022073250(2022-05-17)
・登録番号/登録日:該当なし
・名称:ソフトカプセル用収容容器、及び、ソフトカプセル入り収容容器
・出願人:株式会社細川洋行
〇要点
・ソフトカプセルが収容容器の内面に付着するのを低減する手段を提供。
・収容空間の内面に対してソフトカプセルの接触部分を最小化する構造。
・凸部を用いてソフトカプセルの一部を内面から離間させる設計。
〇概要
本発明は、経口摂取されるソフトカプセルの収容容器に関するもので、収容容器内のソフトカプセルが内面に付着するのを低減する手段を提供することを目的としています。収容容器は、ソフトカプセルを収容する収容空間と、その収容空間に面してソフトカプセルに接触する内面を備えています。また、内面にはソフトカプセルの接触部分を内面から離間させるための離間手段が設けられており、この手段により接触部分の面積を小さくすることで付着を防止します。具体的には、内面に凸部を設け、これを用いてソフトカプセルの接触領域の一部を離間させる構造が採用されています。複数の凸部が内面に配置され、これによりソフトカプセルの付着を効果的に防ぐことができます。この設計は、ソフトカプセルを内面から適切に離間させることで、収容容器内でのソフトカプセルの動きを確保し、摂取時の利便性を向上させるものです。
〇考察
この発明は、ソフトカプセルの収容容器内での付着を防ぐ革新的な手段を提供する点で注目されます。従来の収容容器では、ソフトカプセルが内面に付着することで取り出しにくくなる問題がありましたが、本発明は内面に設けた凸部によりこれを効果的に解決しています。凸部を用いることでソフトカプセルの接触部分を最小限に抑え、収容容器内での自由な動きを可能にしています。この設計により、ソフトカプセルの取り出しやすさが向上し、ユーザーの利便性が大幅に向上すると考えられます。また、この収容容器はソフトカプセルの保存状態を良好に保つことができ、品質の維持にも寄与します。さらに、この技術は医薬品やサプリメントの分野で広く応用可能であり、特に経口摂取が前提となる製品において、その利便性と品質の向上に大きく貢献することが期待されます。総合的に見て、この発明はソフトカプセルの取り扱いにおける新たな基準を打ち立てるものであり、今後の市場において高い競争力を持つと考えられます。
特許事例⑥(ソフトカプセル用収容容器/株式会社細川洋行)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2021038021W(2021-10-14)
・公開番号/公開日:WO2022091797(2022-05-05)
・名称:ソフトカプセル用収容容器、ソフトカプセル入り収容容器、及び、ソフトカプセル用積層体
・出願人:株式会社細川洋行
〇要点(仮)
・ソフトカプセルの接触領域を最小限にし、接触部分の面積を抑える設計の収容容器。
・収容容器内面に凸部と凹部を設け、ソフトカプセルとの接触を制御する。
・複数の凸部と溝を配置して、ソフトカプセルの保持と分離を最適化する。
〇概要(仮)
本発明は経口により摂取されるソフトカプセルを収容する収容容器に関するもので、収容容器はソフトカプセルを収容する収容空間、収容空間内のソフトカプセルに接触する内面、及び接触領域の一部を内面から離間させる離間手段を備えています。接触部分の面積が離間部分の面積よりも小さくなるように設計されており、内面には収容空間側に向かって突出した凸部と反対側に向かって窪んだ凹部が設けられています。凸部が複数配置され、接触領域の一部を内面から離間させる役割を果たし、複数の凸部列が交差する方向に並んでいます。さらに、収容空間の反対側には異なる層が設けられており、凸部と他の層の間に空隙が設けられています。このように構成されたソフトカプセル用収容容器は、ソフトカプセルを効率的に収容し、その品質と保存性を高めることができます。
〇考察(仮)
この発明はソフトカプセルの保存と取り扱いにおいて革新的なアプローチを提供しています。特に、収容容器の内面に凸部と凹部を設けることで、ソフトカプセルの接触面積を最小限に抑え、製品の変形や破損を防ぐことができます。さらに、複数の凸部と溝を配置することで、カプセルの位置を安定させ、取り出しやすさも向上させています。このような設計は、製薬業界やサプリメント業界において、製品の品質管理と効率的な流通に寄与するでしょう。また、収容容器の材料や構造の多様性により、様々なカプセル形状やサイズに対応可能であり、製品開発の柔軟性を高めます。総合的に見て、この技術はソフトカプセルの保存と使用において新しい標準を確立する可能性があり、今後の市場において競争力を持つと考えられます。
特許事例⑦(ソフトカプセルの製造方法/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2022078178A(2022-05-11)
・公開番号/公開日:JP2023167194(2023-11-24)
・登録番号/登録日:なし
・名称:ソフトカプセルの製造方法
・出願人:中日本カプセル株式会社
〇要点
・ゼラチンや動物性原料を使用しないソフトカプセルの製造方法を提供。
・ピキア属酵母を遺伝子組換え宿主細胞として発酵培養し、ポリペプチドとグリセリンを混合した原液を使用。
・ロータリーダイ式成形装置で皮膜をフィルム化し、ヒートシールで内容物を充填。
〇概要
本発明は、ゼラチンや動物性原料を使用せずにソフトカプセルを製造する方法に関するものである。この方法は、ピキア属酵母を遺伝子組換え宿主細胞として発酵培養することで得られた、ヒトコラーゲンの三本螺旋構造部位におけるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する一本鎖のポリペプチドおよびグリセリンを含むソフトカプセル皮膜原液を使用する。この原液を水と混合して調製し、ロータリーダイ式成形装置を用いてフィルム化し、ヒートシールで内容物を充填することによりソフトカプセルを製造する。これにより、ゼラチンを使用することなく、動物性の原料を排除しながらも、ソフトカプセルの製造が可能となる。
〇考察
この発明は、従来のゼラチンを用いたソフトカプセルの製造方法に代わる、新しい製造方法を提供するものである。ピキア属酵母を遺伝子組換え宿主細胞として利用し、特定のアミノ酸配列を持つポリペプチドを生成する点が特徴的である。この方法により、動物性原料を使用せずにソフトカプセルを製造できるため、アレルギーや宗教的な制約から解放されるとともに、倫理的な配慮も可能となる。さらに、ロータリーダイ式成形装置の使用によって効率的かつ均一なカプセルの製造が実現できる。この技術は、医薬品やサプリメント、食品分野における応用が期待され、特に動物由来成分の使用を避けたい消費者ニーズに応えるものである。総じて、この発明は持続可能性と多様な消費者ニーズに応じた革新的な技術として、今後の市場において高い競争力を持つことが予想される。
特許事例⑧(ソフトカプセル皮膜/中日本カプセル 株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2019232698A(2019-12-24)
・公開番号/公開日:JP2021100917(2021-07-08)
・登録番号/登録日:JP7411990B(2023-12-28)
・名称:ソフトカプセル皮膜、ソフトカプセル、及び、ソフトカプセルの製造方法
・出願人:中日本カプセル 株式会社
〇要点
・ゼラチンを含まない腸溶性ソフトカプセル皮膜を製造する方法を提供。
・酸処理したバレイショ澱粉、イオタカラギーナン、部分アシル型ジェランガムを使用。
・ロータリーダイ式成形により腸溶性ソフトカプセルを製造。
〇概要
本発明は、ゼラチンを含有しない腸溶性のソフトカプセル皮膜を備えるソフトカプセルの製造方法に関するものである。酸処理したバレイショ澱粉、イオタカラギーナン、および部分アシル型ジェランガムを含有する皮膜原液を使用し、ロータリーダイ式成形により腸溶性を備えるソフトカプセル皮膜に内容物が充填されたソフトカプセルを製造する。この発明は、ゼラチンを使用せずに腸溶性ソフトカプセルを製造できることから、動物性成分を避けたいニーズに応え、製造工程における革新性を提供している。請求項1および2には、酸処理したバレイショ澱粉とイオタカラギーナンおよび部分アシル型ジェランガムの特定の重量比を特徴とするソフトカプセル皮膜が記載されている。この製造方法により、ゼラチンを含まないにもかかわらず、優れた腸溶性と機械的強度を持つソフトカプセルが得られる。これにより、医薬品や食品などの広範な分野での応用が期待される。
〇考察
この発明は、ゼラチンを含有しないソフトカプセルの製造に新たなアプローチを提供するものであり、従来のゼラチンベースのカプセルに代わる革新的な製品開発を可能にしている。特に酸処理したバレイショ澱粉、イオタカラギーナン、および部分アシル型ジェランガムを組み合わせることで、ゼラチンを使わずに腸溶性と機械的強度を両立させる点が特徴的である。この技術は動物性成分を避けることができ、ベジタリアンやアレルギー患者への配慮が必要な市場において有利である。さらに、製造方法としてロータリーダイ式成形を採用することで、効率的な大量生産が可能となり、コストの削減と品質の安定化が期待できる。このようなソフトカプセルは医薬品だけでなく、栄養補助食品や食品添加物などの分野においても広範な応用が見込まれ、市場での競争力を高める要因となる。総合的に見て、この発明は新たな素材と製造技術を活用することで、ソフトカプセル市場における製品の多様性と品質向上を促進し、持続可能な開発に寄与する可能性が高いと考えられる。
特許事例⑨(ソフトカプセル皮膜/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2019166230A(2019-09-12)
・公開番号/公開日:JP2021042174(2021-03-18)
・登録番号/登録日:JP6778963B(2020-10-15)
・名称:ソフトカプセル皮膜、ソフトカプセル皮膜の製造方法、及びソフトカプセル
・出願人:中日本カプセル株式会社
〇要点
・ゼラチンを基剤とし、グリセリンを可塑剤として含むソフトカプセル皮膜の製造方法を提供。
・酸処理したバレイショ澱粉、もち種トウモロコシ澱粉、トウモロコシ澱粉を含有し、粘着性の増加を抑制。
・高温下で粘着性が増す程度が小さいソフトカプセル皮膜を実現。
〇概要
本発明は、ゼラチンを皮膜基剤とし、グリセリンを可塑剤として含有するソフトカプセル皮膜の製造方法を提供することを目的としています。具体的には、ゼラチンを皮膜基剤とし、グリセリンを可塑剤として含有するソフトカプセル皮膜に、酸処理したバレイショ澱粉、酸処理したもち種トウモロコシ澱粉、及び酸処理したトウモロコシ澱粉から選ばれる加工澱粉を含有させることにより、高温下での粘着性の増加を抑制するソフトカプセル皮膜を製造することが特徴です。この組成により、従来の加工澱粉を含まないソフトカプセル皮膜と同等の性能を維持しつつ、高温環境でも安定した使用が可能となります。請求項には、各種酸処理した澱粉を特定の割合で含有することが記載されており、これにより製造されたソフトカプセル皮膜は、医薬品や食品分野での応用が期待されます。さらに、内容物が充填されたソフトカプセルも対象としています。
〇考察
この発明は、ソフトカプセル皮膜の製造において従来の問題点である高温下での粘着性の増加を効果的に抑制する新しい組成を提供しています。ゼラチンとグリセリンを基剤および可塑剤として用い、酸処理したバレイショ澱粉、もち種トウモロコシ澱粉、トウモロコシ澱粉を含有させることで、従来の組成と同等の性能を維持しつつ、高温環境でも安定した性能を発揮する点が重要です。この技術は、医薬品や食品のカプセル製品の品質を向上させる可能性があり、特に保存や輸送中の高温環境においても製品の粘着性が問題にならないため、製品の信頼性が向上します。さらに、この技術により製造されたソフトカプセルは、内容物の充填が可能であり、幅広い用途に応用できることから、製薬業界や食品業界における製品開発において大きな利点をもたらします。従って、本発明は、ソフトカプセル製造技術の進展に寄与し、将来的には市場での競争力を高める可能性があります。
特許事例⑩(ソフトカプセル充填用組成物/日清オイリオグループ株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日:JP2020533473A(2019-07-25)
・公開番号/公開日:JPWO2020026946(2021-08-26)
・名称:ソフトカプセル充填用組成物、及びそれを充填したソフトカプセル
・出願人:日清オイリオグループ株式会社
〇要点
・粉末油脂組成物と食用油を含むソフトカプセル充填用組成物を提供。
・油脂成分にβ型油脂を含み、粉末油脂の粒子は板状形状で平均粒径が50μm以下。
・組成物の20℃での粘度が500〜150000mPa・s。
〇概要
本発明の課題は、充填適性を有するソフトカプセル充填用組成物およびそれを充填したソフトカプセルを提供することである。本発明は、グリセリンの1位〜3位に炭素数10〜22の脂肪酸残基を有するトリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物と食用油とを含有するソフトカプセル充填用組成物であり、この油脂成分がβ型油脂を含み、粉末油脂組成物の粒子は板状形状であり、平均粒径が50μm以下で、20℃での粘度が500〜150000mPa・sであることを特徴とする。また、難油溶性成分を含むことや粉末油脂のアスペクト比が2.5以上であること、ゆるめ嵩密度が0.05〜0.4g/cm3であることも特徴としている。これにより、製造方法において粉末油脂組成物と食用油を混合する際には、粉末油脂の融点未満の温度で行い、加熱処理を行わずに製造することができるとされている。
〇考察
この発明は、ソフトカプセル充填用組成物の製造において新しい方法を提供しており、特に粉末油脂の粒子形状やサイズ、そしてその物理的特性に注目しています。従来の技術と比較して、この組成物は充填適性が高く、特定の温度範囲での粘度が適切に保たれるため、製造プロセスの効率化が期待されます。また、β型油脂の使用により、カプセル内の内容物の安定性が向上し、長期間保存しても品質が保たれる点も重要です。さらに、難油溶性成分を含むことで、医薬品やサプリメントとしての用途が広がり、多様な成分を効果的にカプセル化できる可能性があります。この技術は、医薬品や栄養補助食品の市場において競争力を高める要素となり得るでしょう。総じて、本発明はソフトカプセルの製造において新たな技術革新をもたらし、より高品質な製品を提供するための重要なステップであると考えられます。
ソフトカプセルに関する特許出願人傾向
1.ソフトカプセルの特許出願傾向(2012-2015年)
2012年から2015年にかけてのソフトカプセルに関する特許出願を見ると、多くの企業が活発に特許を申請しています。アリメント工業株式会社や三生医薬株式会社、中日本カプセル株式会社などが複数の特許を出願しており、特に中日本カプセル株式会社が2012年に4件と突出しています。この期間では、ソフトカプセルの製造技術や材料に関する基礎的な研究開発が進行していたことが伺えます。
2.ソフトカプセルの特許出願傾向(2016-2018年)
2016年から2018年にかけては、アリメント工業株式会社や三生医薬株式会社、伊那食品工業株式会社などが引き続き特許出願を行っています。この時期には、富士カプセル株式会社の出願件数が目立ち、2015年に8件、2018年に3件と多くの特許を出願しています。また、健康志向の高まりに伴い、機能性や品質向上を目指した技術が注目されています。例えば、ライオン株式会社や静岡県公立大学法人の出願が見られ、学術研究機関との連携も進んでいることが示されています。
3.ソフトカプセルの特許出願傾向(2019-2021年)
2019年から2021年にかけては、アスタリール株式会社や中日本カプセル株式会社、富士カプセル株式会社などが積極的に特許を出願しています。この時期には、健康補助食品や機能性食品の需要が高まり、それに対応する新技術や新製品の開発が進められていることが伺えます。日清オイリオグループ株式会社や三菱瓦斯化学株式会社といった大手企業の参入も見られ、業界全体の技術革新が加速しています。
4.ソフトカプセルの特許出願傾向(2022-2024年)
2022年以降の特許出願では、アリメント工業株式会社や三生医薬株式会社、中日本カプセル株式会社などが引き続き出願を行っており、安定した技術開発の継続が見られます。この期間では、サントリーホールディングス株式会社や三井農林株式会社といった新規参入企業も見られ、多様な企業がソフトカプセルの市場に興味を持っていることが分かります。また、製造プロセスの効率化や新しい材料の開発に関する出願が増加しており、技術の高度化とともに市場の競争が激化しています。
5.結論
全体として、ソフトカプセルに関する特許出願の傾向は、技術の進化と市場の需要に応じて変化しています。2012年から2015年にかけては基礎技術の開発が進み、2016年以降は健康志向や機能性を重視した技術開発が顕著になっています。特に2019年以降は、製品の多様化と技術の高度化が進み、多くの企業が新技術の開発に力を入れています。今後もソフトカプセルの市場は拡大し続けると予想され、技術革新が続くことでしょう。
ソフトカプセルの特許について
ソフトカプセルの特許には、多岐にわたる技術的な発明が含まれています。まず、ソフトカプセルの基本構造に関する特許では、ゼラチンやポリマーなどの材料の改良が主な焦点となっています。これらの材料は、カプセルの物理的特性を向上させるために使用され、柔軟性や強度、溶解性の調整が可能です。また、これらのカプセルは薬剤の安定性を維持し、体内での放出制御を行うための工夫がされています。さらに、カプセルの製造方法に関する特許も重要です。例えば、カプセルの成形や充填のプロセスにおいて、効率的で精密な技術が開発されています。具体的には、カプセルのシームレス化や自動化された生産ラインの構築により、大量生産が可能になり、コスト削減と品質向上が図られています。加えて、薬剤の放出メカニズムに関する特許も多数存在します。これには、カプセルの外殻が特定の条件下で溶解するタイミングを制御する技術や、内部に複数の層を設けて段階的に薬剤を放出する方法などが含まれます。さらに、特定の薬剤や栄養素に対して最適化されたカプセルの設計も特許の対象となっています。例えば、脂溶性ビタミンやオメガ3脂肪酸などの成分を効率的に吸収できるように工夫されたカプセルがあります。これらの特許は、薬剤の生体利用効率を高めることを目的としています。その他にも、カプセルのコーティング技術や、カプセル自体が有する機能性に関する特許も見逃せません。例えば、特定のpH環境でのみ溶解するコーティングや、腸溶性カプセルの開発などがあります。これらの技術は、胃酸による薬剤の分解を防ぎ、腸での吸収を促進するために重要です。また、ソフトカプセルの包装や保管に関する特許も存在し、これにより製品の長期保存性が向上しています。総じて、ソフトカプセルに関する特許は、材料、製造方法、薬剤放出メカニズム、特定成分の最適化、コーティング技術、包装保管の各分野にわたって多岐にわたり、これらが連携して高品質で効果的な製品を実現しています。
ソフトカプセル特許の被引用数と特許価値に関して
ソフトカプセル特許の被引用数と特許価値について述べる際には、まず被引用数が特許の重要性や影響力を示す主要な指標の一つであることを理解する必要があります。被引用数とは、特定の特許が他の特許や学術論文などで参照された回数を示します。一般的に、被引用数が多い特許は、その技術が他の研究や開発に多大な影響を与えたことを示しており、結果としてその特許の価値も高いと評価される傾向にあります。ソフトカプセルの特許においても、被引用数の多さはその技術が医薬品や栄養補助食品、化粧品などの多様な分野で広く応用され、さらに技術開発において重要な役割を果たしていることを示唆します。被引用数が多い特許は、技術的な優位性や独自性が高く、競合他社が類似技術を開発する際に参考にされることが多いため、市場における競争力も強化されます。これにより、特許のライセンス収入や特許権の販売価格が上昇し、特許保有者にとって経済的利益が大きくなることが期待されます。また、特許価値を評価する際には、被引用数だけでなく、特許の残存期間、市場の需要、技術の実用性や商業化の可能性、さらに特許権の法的強度なども考慮する必要があります。例えば、ソフトカプセル技術が特定の医薬品の効果的な投与方法を提供し、患者のコンプライアンスを向上させる場合、その市場価値は非常に高くなる可能性があります。加えて、特許が保護する技術が新規性と進歩性を備えているかどうか、さらに特許権が無効化されるリスクが低いかどうかも重要な評価基準です。被引用数の多い特許は、これらの基準を満たしている可能性が高く、したがって特許価値も高いとみなされることが多いです。結論として、ソフトカプセル特許の被引用数はその技術の影響力と市場価値を示す重要な指標であり、被引用数が多い特許は競争優位性が高く、経済的利益をもたらす可能性が大いにあります。しかし、特許価値を総合的に評価するためには、被引用数以外の要素も慎重に検討する必要があります。
ソフトカプセル特許のランキング付に関して
ソフトカプセル特許の被引用数を用いて特許をランキング付けすることは、特許の価値や影響力を評価するための有力な手段の一つです。被引用数とは、ある特許が他の特許によって参照された回数を示し、その特許が技術的にどれだけ影響を与えているかを定量的に測る指標となります。特許の被引用数が多いほど、その特許が多くの他の発明や技術に利用されていることを示し、技術の革新性や重要性が高いと評価されます。ソフトカプセル技術においても、この被引用数はその特許の価値を客観的に判断するための重要なデータとなり得ます。例えば、製薬業界ではソフトカプセル技術が多くの新薬の開発や改良に利用されることが多く、その結果として関連特許が頻繁に引用される傾向にあります。被引用数を基にしたランキング付けは、研究開発戦略の策定や知的財産管理において重要な役割を果たします。この方法を活用することで、企業は自社の特許ポートフォリオの強みと弱みを把握し、将来の研究開発の方向性を定める際の指針とすることができます。また、被引用数が高い特許は、その特許技術が市場で成功する可能性が高いと見なされ、ライセンス契約や技術移転の交渉において有利な立場に立つことができます。しかし、被引用数だけではその特許の全体的な価値を完全には測れないことも留意すべきです。例えば、特定の技術分野では引用の慣行や特許の出願数が異なるため、他の評価指標と組み合わせて総合的に評価することが推奨されます。それでもなお、被引用数を用いたランキングは、特許の技術的影響力や市場における重要性を示す有力な指標として広く認識されています。従って、ソフトカプセル特許においても、この方法を用いることで、技術の進展や市場動向を把握し、より効果的な知財戦略を構築する一助となるでしょう。
パテスアップはソフトカプセルの特許情報を提供
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