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ハードカプセルに関する特許の出願動向
1. ハードカプセル技術の基盤形成と応用の拡大（2011-2015年）
2011年から2015年にかけての特許出願は、主にハードカプセルの基本的な技術開発に焦点を当てています。この期間には、ハードカプセルの崩壊性向上や内容物の安定性、カプセル製造方法の効率化に関する技術が多く見られます。例えば、2011年の炭酸塩と酸を利用した崩壊性向上技術、2012年の飲み込みやすさを重視した製造方法、2014年の耐胃液性ハードカプセルの開発などが挙げられます。これらの技術は、ハードカプセルの基本性能を強化し、より高い品質と信頼性を提供することを目的としています。
2. 腸溶性カプセル技術の進展（2016-2018年）
2016年から2018年にかけては、腸溶性カプセルの技術開発が活発化しています。この期間には、腸での有効成分の放出を制御するための技術や、カプセル内の内容物の安定性を確保するための技術が多く見られます。例えば、2016年の血中コリンエステラーゼ濃度を低下させる食品組成物、2017年の多層被覆製剤、2018年の高効率なジオスゲニン吸収技術などが挙げられます。これらの技術は、消費者の健康志向の高まりに対応し、特定の機能を持つカプセル製品の開発を推進しています。
3. 機能性カプセルの多様化と高性能化（2019-2021年）
2019年から2021年にかけては、機能性カプセルの多様化と高性能化が進んでいます。この期間には、特定の効果を持つカプセルの開発が目立ちます。例えば、2020年の有用物質の放出制御を目的とした粉末組成物、2021年の酸性環境下での崩壊抑制技術などがあります。また、健康や美容を意識した製品も増加しており、例えば2021年の高いキサンチンオキシダーゼ阻害活性を持つ腸溶性製剤が挙げられます。これらの技術は、消費者のニーズに応じた多様な製品開発を可能にしています。
4. 新素材と新機能の導入（2022年以降）
2022年以降の特許出願では、新素材や新機能の導入が目立ちます。この期間には、セルロースナノファイバーを利用したカプセル皮膜の技術開発や、ヒシ属植物の加工物を含む新規の眼科用組成物など、新しい素材を用いた技術が多く見られます。また、カプセルの製造効率を向上させる技術も進展しており、例えば2022年のハードカプセル用コーティング組成物などがあります。これらの技術は、より高機能で付加価値の高い製品の開発を可能にしています。
5. 結論
全体として、ハードカプセルに関する特許出願の傾向は、基盤技術の確立から始まり、腸溶性や機能性を重視した製品の開発、さらには新素材の導入へと進化しています。特に近年は、消費者の健康志向や多様なニーズに応えるための技術開発が進んでおり、今後もこれらの分野での技術革新が期待されます。これにより、より高性能で多機能なハードカプセル製品が市場に提供されることが予想されます。
6.今後の特許戦略
今後の特許戦略としては、まず基盤技術をさらに強化し、ハードカプセルの基本性能を向上させる研究を続けることが重要です。具体的には、カプセルの崩壊性や耐酸性を改善し、消化管内でのターゲットリリースを正確に制御できる技術の開発が求められます。また、消費者の健康志向に応じた機能性カプセルの開発にも注力すべきです。例えば、プロバイオティクスやプレバイオティクスを安定に保持できるカプセルや、特定の栄養素や薬効成分を腸内で効率よく吸収できる技術が考えられます。さらに、環境に配慮した持続可能な素材の使用も視野に入れ、バイオマス素材やリサイクル可能な材料を用いたカプセルの研究を進めることが重要です。また、新しい素材や技術の導入による製造プロセスの効率化やコスト削減も目指すべきです。これにより、製品の競争力を高めると同時に市場ニーズに迅速に対応できる柔軟な製造体制を構築できます。最後に、既存技術の応用範囲を広げるための多様な製品開発も視野に入れ、健康食品や医薬品だけでなく、化粧品やサプリメントなど多岐にわたる分野への展開を図ることが戦略的に重要です。
ハードカプセル 特許事例 10選
個人的に代表的と思われるハードカプセルに関連する特許を10件挙げてみました。これらの特許は、ハードカプセルの開発や知財活動において有益な情報を提供するものです。これらの特許には、カプセルの製造方法、材料の選定、成分の安定性向上、機能性の付与など、様々な技術的側面が含まれています。これにより、製品の品質向上や新たな製品開発に役立つ知見が得られるでしょう。これらの情報を基に、さらなる技術革新や特許戦略の構築に役立てていただければ幸いです。
特許事例①(ハードカプセル用コーティング剤及びそれを用いたハードカプセル剤の製造方法/三生医薬株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2022036756A（2022-03-10）
・公開番号/公開日：JP2022078259（2022-05-24）
・名称：ハードカプセル用コーティング剤及びそれを用いたハードカプセル剤の製造方法
・出願人：三生医薬株式会社
〇要点
・セラック及びコーティング膜軟質化成分を含むハードカプセル用コーティング剤の提供。
・キャップとボディの分離性を向上させる製造方法の確立。
・セラック45～70重量％、コーティング膜軟質化成分10～35重量％の組成。
〇概要
本発明は、ハードカプセルのキャップとボディの分離性を向上させるためのコーティング剤およびその製造方法に関するものです。このコーティング剤はセラック及びコーティング膜軟質化成分を含み、固形分としてセラックを45～70重量％、コーティング膜軟質化成分を10～35重量％含有します。具体的には、コーティング膜軟質化成分としてグリセリン脂肪酸エステルが用いられることが推奨されています。このコーティング剤は、空のハードカプセルのキャップとボディに塗布または噴霧され、乾燥させてコーティング膜を形成します。形成されたコーティング膜により、キャップとボディの分離性が向上し、効率的にハードカプセルを製造することが可能となります。製造工程では、キャップとボディを分離させた後、ボディに内容物を充填するプロセスが含まれています。この発明は、特に腸溶性のコーティング膜を形成したハードカプセルにおいて、分離性の向上を目指しており、製造効率の改善および製品の品質向上に寄与することが期待されます。
〇考察
この発明は、ハードカプセルの製造効率と製品品質の向上を目指したものであり、その中核はセラックとグリセリン脂肪酸エステルを含むコーティング剤にあります。セラックを主要成分とすることで腸溶性コーティング膜の形成が可能となり、製品の安定性や有効成分の適切な放出を確保します。一方、コーティング膜軟質化成分としてグリセリン脂肪酸エステルを使用することで、カプセルのキャップとボディの分離性が改善され、充填工程の効率が大幅に向上します。これにより、製造コストの削減と生産性の向上が期待でき、さらに製品の品質管理も容易になります。特に、腸溶性が求められる製品に対しては、効果的なソリューションを提供する技術といえます。この技術の応用範囲は広く、製薬業界や健康食品業界において競争力のある製品開発に寄与する可能性が高いです。市場のニーズに応じた柔軟な対応が可能であり、将来的な技術の発展や新規市場の開拓にも貢献することでしょう。総じて、この発明は現行の製造プロセスに対して革新性をもたらし、ハードカプセルの新たな可能性を切り開く重要な技術と考えられます。
特許事例②(ハードカプセル用コーティング剤及びそれを用いたハードカプセル剤の製造方法/三生医薬株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2018070740A（2018-04-02）
・公開番号/公開日：JP2019182746（2019-10-24）
・登録番号/登録日：JP7044360B（2022-03-22）
・名称：ハードカプセル用コーティング剤及びそれを用いたハードカプセル剤の製造方法
・出願人：三生医薬株式会社
〇要点
・セラック及びコーティング膜軟質化成分を含むハードカプセル用コーティング剤。
・キャップとボディの分離性を向上させるための成分配合。
・効率的なハードカプセル製造方法の提供。
〇概要
本発明は、予め腸溶性のコーティング膜を形成したハードカプセルについて、キャップとボディとの分離性を向上させるハードカプセル用コーティング剤及びその製造方法に関するものである。このハードカプセル用コーティング組成物は、セラック及びコーティング膜軟質化成分を含み、固形分としてセラックを45〜70重量％及びコーティング膜軟質化成分を10〜35重量％含有する。具体的には、コーティング膜軟質化成分としてグリセリン脂肪酸エステルが使用される。製造方法としては、空のハードカプセルにこのコーティング剤を塗布または噴霧し、乾燥させることでコーティング膜を形成し、キャップとボディを分離させた後、内容物を充填する工程を含む。この技術により、ハードカプセルの効率的な製造が可能となり、製品の品質が向上することが期待される。
〇考察
この発明は、ハードカプセルのキャップとボディの分離性を向上させることを主な課題としている。セラックとコーティング膜軟質化成分の組み合わせにより、従来のカプセルよりも優れた分離性能を実現している点が注目される。特にグリセリン脂肪酸エステルの使用は、膜の柔軟性を高めるために効果的であり、製造工程においてカプセルの損傷を防ぐことができる。この技術は製薬業界においてハードカプセル製品の品質管理を改善し、製造効率を向上させる可能性が高い。さらに、分離性の向上により、内容物の充填が容易になり、製品の一貫性が保たれることから、消費者の信頼性も向上する。また、セラックを主成分とすることで、カプセルの腸溶性が確保され、医薬品の効果的な吸収が期待できる。このように、本発明はハードカプセルの製造技術に新たな視点を提供し、製品開発や品質向上に大いに貢献するものである。
特許事例③(ハードカプセル製剤、粉末組成物/株式会社ファンケル)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2021123652A（2021-07-28）
・公開番号/公開日：JP2023019150（2023-02-09）
・名称：ハードカプセル製剤、粉末組成物
・出願人：株式会社ファンケル
〇要点
・酸性環境下での崩壊を抑制し、カプセル内容物の耐酸性を向上させる。
・（Ａ）有用物質、（Ｂ）ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、（Ｃ）重炭酸ナトリウムを含有する粉末組成物をカプセル内容物として含有。
・粉末組成物中で（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比が0.5以上2.5以下であることが特徴。
〇概要
本発明は、酸性環境下における崩壊を抑制し、カプセル内容物である有用物質の耐酸性を向上させ、腸まで到達させるためのハードカプセル製剤及び粉末組成物に関するものである。このハードカプセル製剤は、（Ａ）有用物質、（Ｂ）ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースのいずれか、及び（Ｃ）重炭酸ナトリウムを含有する粉末組成物をカプセル内容物として含有し、粉末組成物中において（Ｂ）成分に対する（Ｃ）成分の質量比が0.5以上2.5以下であることを特徴としている。これにより、酸性環境下での崩壊が抑制され、カプセル内容物の耐酸性が向上し、腸まで到達することが可能になる。請求項には、ビフィズス菌又は乳酸菌を有用物質として含む場合についても記載されており、医薬品やサプリメントとしての応用が期待される。このような特徴により、消化過程において有効成分が保護され、必要な部位で放出されることが確実となる。
〇考察
本発明は、酸性環境下におけるカプセルの崩壊を防ぎ、有用物質の耐酸性を向上させることに焦点を当てており、その結果として腸まで有効成分を届けることができるハードカプセル製剤を提供している。特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースと重炭酸ナトリウムの適切な質量比を設定することで、酸性環境下での崩壊を抑制しつつ、カプセルの内容物が胃酸に耐えうる特性を持つことが確認されている。この技術は、腸まで到達することが求められるプロバイオティクスやその他の有用物質の効果的なカプセル化を可能にし、医薬品およびサプリメント市場において大きな価値を提供する。また、粉末組成物の成分比率に関する詳細な規定により、製品の一貫性と品質管理が向上することが期待される。さらに、これにより、従来のカプセル製剤では困難であった酸性環境下での崩壊問題を解決し、腸内での有効成分の効果的な放出を実現することが可能となり、消費者にとっても高い信頼性と効果が期待できる。
特許事例④(ハードカプセル/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2014102193A（2014-05-16）
・公開番号/公開日：JP2015218131（2015-12-07）
・登録番号/登録日：JP6338447B（2018-05-18）
・名称：ハードカプセル
・出願人：中日本カプセル株式会社
〇要点
・胃液耐性のハードカプセルで、ボディとキャップの接合部からの胃液の浸入や接合の外れを防止。
・接合部はモノアセチルモノアシルグリセリンを含有する単相の皮膜で封止されている。
・外表面も同様の皮膜で被覆されており、腸溶性を発揮。
〇概要
本発明は、耐胃液性を持つハードカプセルの提供を目的としています。特に、ボディとキャップの接合部から胃液が浸入することや接合が外れることを抑制する構造を有します。このハードカプセルは、モノアセチルモノアシルグリセリンを含有する単相の皮膜で形成されたバンドシールにより接合部が封止されており、また、カプセル外殻の外表面も同様の皮膜で被覆されています。これにより、カプセルの耐胃液性が向上し、腸溶性を確保することができます。請求項には、耐胃液性のハードカプセル外殻のボディ及びキャップの接合部がモノアセチルモノアシルグリセリンを含有する単相の皮膜で封止されていることや、外表面が同様の皮膜で被覆されていることが記載されています。この発明は、ハードカプセルの性能向上に寄与し、特に医薬品分野において実用性が高いとされています。
〇考察
この発明は、ハードカプセルの耐胃液性と腸溶性の向上を目的とした新しい技術を提供しています。従来のカプセルは、胃液による劣化や接合部の弱さが課題となっていましたが、モノアセチルモノアシルグリセリンを含有する単相の皮膜で接合部を封止することで、これらの問題を解決しています。また、外表面も同様の皮膜で被覆することで、さらなる耐胃液性を実現しています。この技術により、カプセルの腸溶性が確保され、医薬品の効果を確実に発揮することが可能となります。さらに、この技術は製造プロセスの効率化やコスト削減にも寄与する可能性があり、市場における競争力を高める要素となります。総じて、この発明は医薬品分野におけるカプセル製品の品質向上と信頼性向上に大きく貢献するものであり、今後の市場展開が期待されます。
特許事例⑤(ハードカプセル製剤/株式会社ファンケル)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2020185460A（2020-11-05）
・公開番号/公開日：JP2022074974（2022-05-18）
・登録番号/登録日：JP6944036B（2021-09-13）
・名称：ハードカプセル製剤
・出願人：株式会社ファンケル
〇要点
・有用物質、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭酸カルシウムを含む粉末組成物をハードカプセルに充填。
・低pH環境でHPMC層が形成され、有用物質の放出を制御。
・有用物質としてビフィズス菌や乳酸菌が使用可能。
〇概要
本発明は、有用物質を腸まで到達させるためのハードカプセル製剤に関するものです。この製剤は、有用物質とヒドロキシプロピルメチルセルロース（HPMC）、炭酸カルシウムを含む粉末組成物をハードカプセルに充填したものです。低pHの液体や水に接触すると、粉末組成物の表面にHPMCの層が形成され、内部の有用物質の放出が制御されるか保護されることで、腸まで有用物質を届けることができます。請求項には、HPMCの含有量が0.5～10質量％であること、酸性で凝固する乳蛋白質を含むこと、乳蛋白分解物が使用されること、ビフィズス菌や乳酸菌が有用物質として使用されること、炭酸カルシウムの含有量が2.0～30質量％であることなどが記載されています。この技術は、酸性環境下で不安定な有用物質の保護および制御された放出を実現することができます。
〇考察
本発明のハードカプセル製剤は、有用物質の腸までの到達を確実にするために工夫された粉末組成物を特徴としています。HPMCと炭酸カルシウムの組み合わせにより、低pH環境での保護機能と制御された放出を可能にすることで、胃酸による有用物質の分解を防ぎつつ、適切なタイミングでの効果的な放出を実現しています。これにより、ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスを含む製品の有効性が向上します。また、酸性で凝固する乳蛋白質を用いることで、さらに保護機能が強化される点も注目に値します。この技術は、医薬品やサプリメントの分野において、腸まで有用物質を届ける新しい方法として大きな可能性を秘めており、消化器系の健康をサポートする製品の開発に貢献するでしょう。総合的に見て、この発明は腸内フローラの改善や健康維持に寄与する革新的な技術であり、今後の市場において高い競争力を持つと考えられます。
特許事例⑥(ハードカプセル用皮膜組成物/中日本カプセル 株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2022183157A（2022-11-16）
・公開番号/公開日：JP2024072388（2024-05-28）
・登録番号/登録日：登録番号と登録日は未記載
・名称：ハードカプセル用皮膜組成物
・出願人：中日本カプセル 株式会社
〇要点
・セルロースナノファイバーを用いたハードカプセル皮膜のフィルム成形性を向上。
・カルボキシメチルセルロースナトリウムやメチルセルロースを含有することが特徴。
・グリセリンや糖アルコールを可塑剤として含む場合がある。
〇概要
本発明はセルロースナノファイバーを使用したハードカプセル用皮膜組成物に関するものであり、特にフィルム成形性の向上を目的としています。セルロースナノファイバーに加えて、カルボキシメチルセルロースナトリウムやメチルセルロースを含有することで、ハードカプセル用皮膜の性能を向上させます。また、グリセリンや糖アルコールといった可塑剤を含むことで、さらにフィルム成形性を高めることができます。この組成物を用いることで、セルロースナノファイバーの持つ優れた特性を活かしつつ、従来の素材では実現しにくかった高いフィルム成形性を実現できます。さらに、これらの材料を使用したハードカプセルの製造方法も提供されており、医薬品やサプリメントなどの分野での応用が期待されます。
〇考察
この発明は、セルロースナノファイバーを用いることで、従来のハードカプセル皮膜の成形性を大幅に改善する点が注目されます。セルロースナノファイバーは生分解性があり、環境に優しい素材であるため、持続可能な製品開発に寄与することが期待されます。さらに、カルボキシメチルセルロースナトリウムやメチルセルロースとの組み合わせにより、フィルムの強度や柔軟性が向上し、カプセルの品質と耐久性が強化されます。可塑剤としてグリセリンや糖アルコールを使用することで、成形プロセスの効率が向上し、最終製品の性能も最適化されます。これらの技術革新により、医薬品やサプリメントの製造において高性能なカプセルを提供できるため、製品の市場競争力が向上すると考えられます。総合的に見て、本発明はハードカプセルの製造と品質向上に重要な貢献を果たすとともに、環境保護と持続可能な開発の観点からも意義深いものであると言えます。
特許事例⑦(原薬の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤/株式会社ファンケル)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2014071976A（2014-03-31）
・公開番号/公開日：JP2015193556（2015-11-05）
・登録番号/登録日：JP6243276B（2017-11-17）
・名称：原薬の耐酸性を向上させたハードカプセル製剤
・出願人：株式会社ファンケル
〇要点
・耐酸性の低い原薬成分を腸まで送達できるハードカプセル製剤。
・複雑な製造設備や工程を必要とせず、低コストで製造可能。
・ビフィズス菌生菌末または乳酸菌生菌末を含むことが好ましい。
〇概要
本発明は、耐酸性の低い原薬成分を生菌末のまま腸まで送達することができ、複雑な製造設備や工程を必要とせず、低コストで製造することができるハードカプセル製剤に関するものです。この製剤は、耐酸性の低い原薬成分とヒドロキシプロピルセルロースおよび炭酸カルシウムをハードカプセルに充填することで原薬成分の耐酸性を向上させます。好ましくは、耐酸性のハードカプセルを使用し、乳蛋白消化物や硬化油脂を充填することも可能です。特に、ビフィズス菌生菌末または乳酸菌生菌末を含むことが望ましく、ビフィズス菌生菌末が最適です。これにより、耐酸性の低い原薬成分を腸まで安定して届けることができ、医薬品や健康食品分野での応用が期待されます。
〇考察
この発明は、耐酸性の低い原薬成分を効果的に腸まで届けるための革新的なハードカプセル製剤の提供に重点を置いています。従来の技術では、原薬成分が胃酸により分解されてしまう問題がありましたが、この発明ではヒドロキシプロピルセルロースおよび炭酸カルシウムを利用することで耐酸性を向上させることができ、製造コストの低減と工程の簡略化が可能となっています。特に、ビフィズス菌生菌末や乳酸菌生菌末といった生菌末を使用することで、腸内環境を整える効果が期待でき、健康食品やプロバイオティクス製品としての応用が広がるでしょう。また、耐酸性のハードカプセルや追加成分として乳蛋白消化物や硬化油脂を用いることで、さらなる安定性と有効性が得られる点も注目されます。この技術は、医薬品や健康食品の分野での市場競争力を高めるだけでなく、消費者の健康維持に貢献することが期待されます。
特許事例⑧(ハードカプセル/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2014039347A（2014-02-28）
・公開番号/公開日：JP2015163048（2015-09-10）
・登録番号/登録日：JP6270543B（2018-01-12）
・名称：ハードカプセル
・出願人：中日本カプセル株式会社
〇要点
・ガム粉末を内容物とするハードカプセル。
・カプセル皮膜は80質量％〜90質量％のプルランと10質量％〜15質量％の水分を含有。
・ガム粉末は内容物に60質量％〜80質量％含有。
〇概要
この発明は、従来の技術とは異なる新しいハードカプセルを提供することを目的としています。このハードカプセルは、カプセル皮膜内にガム粉末を充填する構成となっており、具体的には、カプセル皮膜が80質量％〜90質量％のプルランと10質量％〜15質量％の水分を含有していることが特徴です。さらに、ガム粉末は内容物として60質量％〜80質量％の割合で含まれています。このような構成により、カプセルの形状や内容物の保持能力が向上し、新しい使用感や機能性を持つハードカプセルを実現しています。これにより、従来のハードカプセルとは異なる独自の特性を有し、医薬品や食品などの分野での応用が期待されています。
〇考察
本発明は従来のカプセル技術に新たな視点をもたらすものです。特に、プルランを主成分とするカプセル皮膜とガム粉末を充填する構成は、カプセルの物理的強度と内容物の安定性を両立させる点で革新的です。プルランの使用は生分解性や安全性の面で優れており、また水分含有量の調整によりカプセルの柔軟性と耐久性が確保されています。ガム粉末を内容物とすることで、口腔内での使用感や溶解性の調整が可能となり、食品や医薬品としての付加価値が高まります。この技術は、従来のゼラチンカプセルとは異なる新しい市場ニーズに応えるものであり、特に健康食品やサプリメントの分野での応用が期待されます。さらに、製造プロセスの効率化やコスト削減の観点からも競争力が高く、今後の市場展開において有利な位置を占めることが予想されます。
特許事例⑨(カルシウム含有顆粒/株式会社ファンケル)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2020049441A（2020-03-19）
・公開番号/公開日：JP2021145622（2021-09-27）
・名称：カルシウム含有顆粒
・出願人：株式会社ファンケル
〇要点
・カルシウム粉末を60〜95質量％含有し、円形度が0.850以上の顆粒を提供。
・ショ糖脂肪酸エステルを含有し、円形度が0.850以上の顆粒も提供。
・これらの顆粒を含むハードカプセル剤及び顆粒剤の製造方法を開示。
〇概要
本発明は、ハードカプセル剤や顆粒剤に使用される顆粒において、真球に近い形状を有する顆粒を提供することを目的としています。具体的には、カルシウム粉末を60〜95質量％含有し、円形度が0.850以上であることを特徴とするカルシウム含有顆粒、または、ショ糖脂肪酸エステルを含有し、円形度が0.850以上であるショ糖脂肪酸エステル含有顆粒を提供します。これにより、製品の均一性と安定性が向上し、ハードカプセルや顆粒剤としての利用が可能になります。さらに、これらの顆粒を含む製品の製造方法も開示されており、特に混合工程において40〜100℃の環境下で混合することで、円形度が高く品質の安定した顆粒を得ることができます。この発明は、健康食品やサプリメントなどの分野で広く応用可能であり、高品質なカルシウム補給製品の製造に貢献します。
〇考察
この発明は、健康食品やサプリメントの分野において、従来の技術に比べて高い円形度を持つカルシウム含有顆粒の提供に焦点を当てています。顆粒の円形度を0.850以上に保つことで、製品の均一性と安定性が向上し、摂取時の口当たりが改善される可能性があります。また、製造方法において特定の温度範囲での混合工程を採用することで、顆粒の形状と品質がさらに最適化される点は注目に値します。ショ糖脂肪酸エステルを含有することで、脂肪の吸収を助けるなど、さらなる健康効果も期待できます。この技術の導入により、製品の付加価値が高まり、消費者にとって魅力的な選択肢となるでしょう。さらに、製造工程の具体的な条件設定により、効率的で再現性の高い生産が可能となり、市場における競争力が向上すると考えられます。総合的に、この発明は健康食品業界において重要な技術革新をもたらし、高品質なカルシウム補給製品の提供を実現するものであり、今後の市場展開が期待されます。
特許事例⑩(ハードカプセルの製造方法/中日本カプセル株式会社)
〇書誌事項
・出願番号/出願日：JP2012246551A（2012-11-08）
・公開番号/公開日：JP2014094912（2014-05-22）
・登録番号/登録日：JP6049409B（2016-12-02）
・名称：ハードカプセルの製造方法
・出願人：中日本カプセル株式会社
〇要点
・粉末または顆粒の粒子状内容物を収容するハードカプセルの製造方法を提供。
・油状物質を加熱して粒子状内容物間の空隙に浸入させ、常温まで冷却して固化させる工程を含む。
・ハードカプセルは、ボディ及びキャップの隙間から油状物質を浸入させる構成。
〇概要
本発明は、飲み込みやすいハードカプセルの製造方法を提供することを目的としています。この方法では、ボディ及びキャップからなるハードカプセル皮膜に粉末または顆粒の粒子状内容物を収容し、常温で固体となる油状物質を含む含浸用液体を該油状物質の融点以上に加熱してボディ及びキャップの隙間からハードカプセル皮膜内に浸入させ、粒子状内容物間の空隙に含浸させ、常温まで冷却して油状物質を固化させる工程を具備することを特徴としています。この工程により、粉末または顆粒状の内容物が均一に分散され、ハードカプセルの飲み込みやすさが向上します。請求項1および請求項2では、粉末または顆粒の粒子状内容物を含むハードカプセル皮膜に加え、常温で固体となる油状物質が充填され固化する構成が記載されています。この発明は、ハードカプセルの製造方法において油状物質を用いる新しいアプローチを提案し、飲み込みやすさと内容物の均一性を高める点で革新的です。
〇考察
この発明は、従来のハードカプセル製造方法に新しい視点を加え、飲み込みやすさと内容物の均一性を向上させるための革新的なアプローチを提供しています。油状物質を加熱して粒子状内容物間の空隙に浸入させ、常温まで冷却して固化させることで、カプセル内部の内容物が均一に分散されるため、ユーザーの飲み込みやすさが大幅に向上します。また、油状物質を用いることで、ハードカプセルの製造工程がより効率的かつ効果的になる可能性があります。この技術は、医薬品やサプリメントの製造において特に有用であり、市場における競争力を高める要素となるでしょう。さらに、この方法により製造されたハードカプセルは、内容物の均一性や品質の向上が期待されるため、製品の信頼性と顧客満足度を高めることができます。総じて、この発明はハードカプセル製造技術における重要な進歩を示しており、今後の応用範囲の拡大と市場での普及が見込まれます。
ハードカプセルに関する特許出願人傾向
1. 初期の多様な出願（2012-2015年）
2012年から2015年にかけての特許出願には、中日本カプセル株式会社、日清ファルマ株式会社、株式会社東洋新薬、三生医薬株式会社、ファンケル株式会社などが関与しています。この期間では、複数の企業がそれぞれ1〜3件の特許を出願しており、特定の企業が主導するというよりは、多様な企業が参入していることが特徴です。特に、中日本カプセル株式会社とファンケル株式会社の出願が目立ちます。この時期は、新しい技術の模索と試行錯誤が続いていたことが伺えます。
2. 新たなプレイヤーの登場と継続的な出願（2016-2018年）
2016年から2018年にかけては、新たなプレイヤーであるミツボシプロダクトプラニング株式会社、佐々木食品工業株式会社、大正製薬株式会社、株式会社ディーエイチシー、興和株式会社、アリメント工業株式会社、伊那食品工業株式会社、株式会社アンチエイジング・プロが特許を出願しています。この期間では、多くの企業が1件ずつ特許を出願しており、引き続き多様な企業が関与していることが分かります。また、2018年には三生医薬株式会社とファンケル株式会社の出願が再び見られ、これらの企業が継続的に技術開発を行っていることが示されています。
3. ファンケル株式会社の主導（2019-2021年）
2019年から2021年にかけては、ファンケル株式会社が再び主要な出願者として現れ、計3件の特許を出願しています。この期間には、日本ケミファ株式会社も新たに特許を出願しており、ファンケル株式会社が特許出願の主導的な役割を果たしつつ、他の企業も技術開発を続けていることが分かります。ファンケル株式会社の継続的な出願は、同社がハードカプセル技術の分野で一貫して研究開発を行っていることを示しています。
4. 最新の技術動向（2022-2024年）
2022年以降の特許出願では、再び中日本カプセル株式会社、三生医薬株式会社、参天製薬株式会社が特許を出願しています。この期間では、特に参天製薬株式会社の出願が新たな注目点となっています。また、中日本カプセル株式会社と三生医薬株式会社が再び登場しており、これらの企業が継続して技術開発に力を入れていることが示されています。この期間の出願は、より高度な技術や新しい応用分野への挑戦が見られる可能性があります。
5. 結論
全体として、ハードカプセルに関する特許出願の傾向は、多様な企業による技術開発と市場のニーズに応じた進化が見られます。初期の多様な企業の参入から始まり、新たなプレイヤーの登場と継続的な出願が続く中で、特定の企業（特にファンケル株式会社）が主導する時期がありました。最新の出願動向では、再び複数の企業が技術開発に力を入れていることが示されています。今後も、技術の進化と新しい応用分野の開拓が期待される分野です。
ハードカプセルの特許について
ハードカプセルの特許には、さまざまな技術的革新や改良が含まれています。まず、素材に関する特許があり、ゼラチンを使用した従来のカプセルに代わる植物由来の素材や、動物性成分を含まない素材の特許が注目されています。これらの素材は、特定の温度や湿度条件下でも形状を維持し、薬剤の安定性を保つことができます。また、ハードカプセルの製造プロセスに関する特許も重要です。例えば、より高い精度でカプセルを成形する技術や、生産効率を向上させるための自動化システムに関する特許があります。さらに、ハードカプセルの充填技術に関する特許も多岐にわたります。これには、微量の薬剤を正確に充填するための装置や、粉末、液体、ゲルなど様々な形態の充填物に対応する技術が含まれます。また、薬剤の放出制御に関する特許も重要です。例えば、カプセルの特定の部分が特定の時間や場所で分解されるように設計されたカプセルや、薬剤の吸収を促進するためのコーティング技術があります。さらに、カプセルのデザインや形状に関する特許も存在します。例えば、飲み込みやすさを向上させるための特定の形状や、視覚的に識別しやすいデザインなどが挙げられます。加えて、製品の安定性を向上させるための包装技術に関する特許もあります。これには、湿気や光を遮断するための特殊なパッケージング材料や、個別包装技術が含まれます。また、環境に配慮したカプセルや包装材の特許も増加しています。生分解性素材を使用したカプセルやリサイクル可能な包装材がその例です。最後に、特定の疾患に対する治療効果を高めるためのカプセルに関する特許も重要です。例えば、特定の薬剤の効果を最大限に引き出すためのカプセル内の成分配合や、薬剤の副作用を軽減するための技術などがあります。これらの特許は、ハードカプセルの品質や性能を向上させるだけでなく、製品の差別化や市場競争力の強化にも寄与しています。
ハードカプセル特許の被引用数と特許価値に関して
ハードカプセル特許の被引用数と特許価値について述べます。特許の被引用数は、その特許が他の特許にどれだけ引用されているかを示す指標であり、特許価値の評価において重要な要素です。被引用数が多い特許は、技術の先駆性や影響力の高さを示唆するものであり、業界内で広く利用される基盤技術である可能性が高いです。特に医薬品や健康補助食品の分野において、ハードカプセル技術は製剤の安定性や有効成分の吸収率を向上させるために重要な役割を果たしており、新しい製剤技術や改良型カプセルが登場するたびに、関連する既存の特許が参照されることが一般的です。これにより、被引用数が多い特許は高い技術的価値を持つと同時に、市場価値や商業的な重要性も増すことになります。さらに、特許価値は被引用数だけでなく、特許の内容、技術分野の成長性、ライセンス契約の有無など多角的な要素によって評価されます。例えば、特許がカバーする技術が市場においてどれだけ重要であるか、競合他社が同様の技術を開発する上でどれだけ障壁となるか、あるいは特許が含まれる製品がどれだけの売上を生み出すかなども特許価値の判断材料となります。ハードカプセル特許に関しても、これらの多様な要因が価値評価に寄与し、特許ポートフォリオ全体の中でその特許が持つ相対的な重要性が決定されます。特許権者にとっては、被引用数が多い特許はライセンス契約や共同開発の際に強力な交渉材料となり得るため、特許の維持や戦略的活用が求められます。したがって、ハードカプセル特許の被引用数と特許価値は密接に関連しており、その特許が持つ技術的および商業的影響力を総合的に理解するためには、被引用数に加えてその他の関連要素も考慮することが重要です。
ハードカプセル特許のランキング付に関して
ハードカプセル特許の被引用数を用いて特許をランキング付けすることは、特許の価値や影響力を評価するための有効な手段である。被引用数とは、ある特許が他の特許や学術論文などで引用された回数を指し、その特許がどれだけ他の研究や技術開発に影響を与えたかを示す指標となる。特許の被引用数を用いることで、特許の技術的重要性や市場における価値を客観的に評価することができる。一般的に、被引用数が多い特許は、その技術が広く認知され、他の研究や製品開発において基盤となっていることを意味する。被引用数を基にランキングを作成するには、まず関連する特許のデータベースから被引用数のデータを収集し、その後、各特許の被引用数を比較して順位を決定する。この方法は、特許の質や技術的影響力を定量的に評価するための手法として広く用いられており、特許ポートフォリオの管理や特許戦略の策定においても重要な役割を果たす。特許のランキング付けは、企業が自社の技術の強みや競争力を把握し、将来的な研究開発の方向性を決定するための指針ともなり得る。また、被引用数の多い特許は、ライセンス契約や技術移転の交渉においても有利に働く可能性が高く、そのため、多くの企業や研究機関が特許の被引用数を重視している。さらに、被引用数の分析は、特許の出願戦略や特許保護の強化においても重要であり、どの技術分野で特許を強化すべきか、またはどの特許が価値のある資産となり得るかを判断するための重要な情報を提供する。特許のランキングは、技術革新の進展を促進し、企業や研究機関の競争力を高めるための重要なツールであり、被引用数を活用した評価方法は、その信頼性と客観性から広く受け入れられている。
パテスアップはハードカプセルの特許情報を提供
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